設立趣旨

 日本の学校教育においては、数学の集合の考え方について小中学校でその概念が教えられ、高校で集合論の基礎的知識の教育が本格的に行われており、初中等教育の重要分野のひとつとして位置づけられています。

集合論の考え方は、様々な課題解決における論理・抽象化やパターン認識の能力の向上、現実世界における広範な応用(データの分類や整理、論理的な関係の理解、統計学や確率論の基礎)など、人間の一般的思考の基礎としても大変重要であり、諸々の教育研究機関や学会において、専門家による理論的研究や応用研究が進められ日々進歩しています。

一方、広範な市民の日常生活や社会生活では、様々な課題の整理や優先順位づけ、解決策の選択などいろいろな場面において、集合論やその考え方をうまく活用すれば、いくつもの要因が複雑に絡み合う問題を単純化できてすっきりと整理や解決ができるようになるにも拘らず、学習の成果が生かされず、十分に活用されている状態とはいえません。

例えば、学校のPTAのようなグループ活動において、メンバー間で役割分担を決める際に、早い者勝ちだったり嫌々ながら仕方なくといった形で決まることが、多々見受けられます。

このような時に、集合の考え方に基づいてメンバーの特技、経験、都合などの特徴をデータの集まり(集合)として整理し、集合論を活用する課題解決手法であるセットベースデザインを用いることで、メンバーの特徴を生かしたグループ内での適切な役割分担案を幾つか得ることができるので、その中から最終決定すれば、納得性のある役割分担を効率よく決めることができ、柔軟で活力あるグループ活動に結び付けられると考えます。

また、商品の新規開発や改良を行う場合にも、セットベースデザインにより、機能、耐久性、顧客の嗜好、コストなど、多様な要求を同時に満足できる使用材料、形状寸法、加工方法などの要素の組み合わせを、効率よく選定することができるので、様々な場面で発展的に活用することができると考えます。

当団体は、広く一般市民に向けて、講演会や研修会・セミナーならびに個別相談などを実施し、セットベースデザインの普及・啓発・指導をすすめ、日常生活、社会生活の中で活用できる知識や手法の習得を支援して、様々な課題に対する解決手法として幅広く適用して、効率的で柔軟性や発展性のある社会づくりに貢献します。

これまで、セットベースデザインに関して、諸々の学会などにおいて限られたメンバーで、アカデミズムに偏った先進的な議論が行われてきました。然しながら一般社会への浸透が不十分な状況にあると考え、これを打破することを目標に、有志によるセットベースデザイン研究会をNPO法人として創設しました。